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6 min read AI協働発信コンテンツ

連載「AIに任せきりにしない発信をつくる」· 第11編/全21編

「何を書くか」と同じくらい、「いつ出すか」

承認したら即投稿、をやめて予約制にした話

良い内容でも、出すタイミングで読まれ方は変わります。「承認=即投稿」をやめ、朝・昼・夜の枠に予約する仕組みにしました。発信のタイミングを仕組みで設計する——その考え方を、自社SNS自動化づくりから一緒に(効果の検証はこれから)。

安宅春樹 (Ataka Haruki)

— AZASLAB代表 ・ AIエージェント開発ディレクター

— Shimizu Fumio Architects Co., Ltd. 取締役

同じ投稿でも、出す時間で読まれ方は変わる

時間をかけて書いた投稿が、なぜか伸びない。逆に、軽い気持ちで出したものが、思いがけず読まれる。中身だけでは説明のつかない差を、感じたことはありませんか。

その差を生む要素のひとつが、「いつ出したか」です。同じ言葉でも、みんなが眠っている時間に出すのと、ひと息ついて画面を眺める時間に出すのとでは、届き方が変わります。

AZASLAB の発信を自動化するしくみをつくる中で、私はこの「いつ出すか」を、最初はまったく設計していませんでした。今日は、そこを後から仕組みとして組み直した話を、一緒に見ていきましょう。先にお断りしておくと、「何時がいちばん読まれるか」の答えは、まだ持っていません。これは、その手前の「測れるようにした」というお話です。

最初は「承認したら、すぐ投稿」でした

はじめのしくみは、とても素直でした。下書きを人が承認したら、その瞬間に投稿される。承認=即投稿、です。

一見、これで十分に思えます。でも、動かしてみると、2つの落とし穴が見えてきました。

ひとつは、タイミングが「承認した時刻」に引きずられること。私がまとめて何本も承認すれば、その投稿は、たまたま私が手を動かした時間に、かたまって出ていきます。読者にとって良い時間かどうかとは、まったく関係なく。もうひとつは、連投です。何本も続けて承認すると、短い時間に投稿が立て続けに飛び出す。受け取る側からすると、急に騒がしくなって、かえって読み飛ばされてしまう。

つまり「すぐ投稿」は、出す側の都合で時間が決まってしまう仕組みだったんです。

「予約制」に変える

そこで、承認と投稿を切り離しました。承認は「これを出していい」という判断、投稿は「実際に出す」という行為。この2つを、別のタイミングにしたんです。

新しいしくみでは、承認すると、その投稿は朝・昼・夜のあらかじめ決めた配信枠に予約されます。そして、予約された時刻が来たら、自動で投稿される。枠には「1度に詰め込みすぎない」ための上限があって、ある枠が埋まっていたら、次の空いている枠へ自動で繰り越します。

承認は「出していいか」の判断。投稿は「いつ届けるか」の設計。分けると、両方が楽になる。

私がいつ承認しても、投稿そのものは、決めた時間にきれいに散らばって出ていく。承認のタイミングと、配信のタイミングが、ようやく切り離せました。

枠に上限を設けたのも、同じ理由からです。たとえば、夜のうちに下書きを5本まとめて承認したとします。すぐ投稿のしくみなら、夜中に5本が連続で飛んでいく。けれど予約制なら、今日の枠が埋まったぶんは、自然と翌日へ、その次へと繰り越されていきます。結果として、まとめて承認しても、配信のほうは一日に数本ずつ、落ち着いたペースに均される。承認は私のリズムで、配信は読者のリズムで。ためておいた判断が、こぼれずに、ちょうどいい間隔で世に出ていく感じです。

種類ごとに、時間の配分を変える

もうひとつ、予約制にして良かったのは、発信の「種類」ごとに時間の配分を変えられるようになったことです。

私たちの発信には、大きく2つの流れがあります。ひとつは、海外の困りごとから拾ってきた「役立つネタ」。もうひとつは、自分たちのブログの「告知」です。性質がちがうので、出すリズムも変えたくなります。役立つネタは、朝・昼・夜に1本ずつ、生活の区切りに合わせて届ける。告知は、落ち着いて読まれやすい夜に寄せる。——そんなふうに、流れごとに別々の時間設計ができるようになりました。

ひとつの枠に全部を押し込むのではなく、種類に応じて時間をあてがう。これも「いつ出すか」を、なんとなくではなく、意図して決めるための工夫です。

受け取る側の一日を、想像してみる

予約制にしてから、私は「受け取る側の一日」を、前より具体的に想像するようになりました。

考えてみれば、読む人にも生活のリズムがあります。朝、家を出る前の数分。昼、ひと息ついて画面をのぞく時間。夜、一日を終えてゆっくり眺める時間。その合間に、仕事も家事も予定も詰まっている。こちらが何本まとめて出そうと、相手が見られるのは、その人の一日の「すきま」だけです。

そう考えると、短い時間に連続で投稿するのが、なぜもったいないかが見えてきます。同じすきまに3本届いても、読まれるのはせいぜい1本。残りは、見られないまま下へ流れていきます。それなら、朝に1本、昼に1本、夜に1本と置いたほうが、3つのすきまにそれぞれ届く可能性がある。同じ3本でも、出し方しだいで、出会える回数が変わるんです。

もうひとつ、地味な効用がありました。承認と投稿を切り離したことで、私自身が楽になったんです。前は「承認した時間=投稿される時間」だったので、良い時間帯に自分が手を空けておく必要がありました。今は、いつ承認しても、配信は決めた枠に勝手に散らばる。だから、自分の都合の良いときにまとめて下書きに目を通し、判断だけしておけばいい。出す側のリズムと、届ける側のリズムを、別々にできた。これは思った以上に、続けやすさにつながっています。

ただし、「何時が正解か」はこれからです

ここで、正直に書いておきたいことがあります。

「朝・昼・夜のどれがいちばん読まれるのか」は、まだ分かっていません。今回つくったのは、あくまで「時間を散らして出し、後から比べられる土台」です。夜が強い、とも、朝が狙い目だ、とも、まだ言えません。むしろ、ここで「夜がいちばん」などと言い切ってしまったら、それこそ、このブログがずっと戒めてきた「確かめていないのに、もっともらしく語る」になってしまいます。

これからやるのは、実際に時間帯を散らして出し、どの枠の反応が良いかを、数字で淡々と見ていくことです。自分の勘で「たぶん夜」と決めつけるのではなく、出して、測って、確かめる。その下ごしらえとして、まず「測れる形」を用意した。今日の話は、そこまでです。結果が出たら、また持って帰ってきて、お話ししようと思います。当たっていたら、そう報告します。外れていたら、それも正直に。

おわりに:その発信、「いつ出すか」は決め打ちになっていませんか

「何を書くか」には、私たちはたくさん悩みます。でも「いつ出すか」は、案外、その場の勢いで決めてしまいがちです。思いついた今、手が空いた今、つい出してしまう。

中身と同じくらい、届くタイミングは読まれ方を左右します。だとしたら、タイミングも、勢いまかせではなく、少し仕組みとして設計してみる価値があります。承認と投稿を切り離す。時間を散らす。種類ごとに配分を変える。そして、どの時間が効くのかは、決めつけずに測って確かめる。

もちろん、仕組みを大げさに組む必要はありません。手で投稿している方なら、「思いついたら出す」をやめて、出す時間を朝・昼・夜のどれかに決めておくだけでも、立派なタイミング設計です。大事なのは、道具の有無ではなく、「いつ届けるか」を、その場の勢いから、意図のほうへ少し引き寄せること。それだけで、せっかく書いた言葉の出会える回数が、変わってきます。

あなたの発信は、「いつ出すか」が、なんとなくの決め打ちになっていないでしょうか。1度、出す時間を意識して散らし、反応の違いを眺めてみる。それだけで、同じ言葉が、もう少し遠くまで届くようになるかもしれません。