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6 min read AI協働開発マーケティング

連載「温故知新マーケティング実験室」· 第5編/全13編

ChatGPTに引用されるブログ、されないブログ

AI検索に拾われる書き方(連載 5)

せっかく書いた記事が、AI検索にちっとも拾われない。ありませんか。AIは「ページ」でなく「一節」を引用します。問い見出し→直答と、機械への自己紹介で、引用されやすくする型を一緒に。

安宅春樹 (Ataka Haruki)

— AZASLAB代表 ・ AIエージェント開発ディレクター

— Shimizu Fumio Architects Co., Ltd. 取締役

せっかく書いた記事が、AIにちっとも拾われないとき

検索のまわりの景色が、ここ数年で変わりました。キーワードを入れて青いリンクの一覧から選ぶだけでなく、ChatGPTやAI検索に質問すると、いくつかの記事から一節ずつ引いて、答えをまとめてくれる。そんな調べ方が、すっかり身近になりました。

そうなると、書く側としては気になってきます。自分の書いた記事は、こういうとき、ちゃんと引用されているんだろうか。残念ながら、ただ良いことを丁寧に書くだけでは、なかなか拾われません。引用される記事には、内容とは別に、ちょっとした構造の工夫があるのです。温故知新マーケティング実験室のために用意した独自のブログでも、そこを作り込みました。今日はその工夫を、あなたの記事にもそのまま使える形で、一緒に見ていきましょう。

AIは「ページ」ではなく「一節」を引用する

まず知っておきたいのは、AI検索が記事をどう引くか、です。

AIは、記事を最初から最後まで読み上げて紹介してくれるわけではありません。質問の答えに使えそうな「一節」だけを抜き出して、そこを引きます。ページ単位ではなく、段落単位、もっと言えば一かたまりの主張単位で拾われる、と考えると近いでしょう。

ということは、ねらうべきは「いい記事を一本」より前に、「抜き出せる一節をいくつ作れるか」になります。前後を読まなくても、その一節だけで意味が通る。そんな自己完結したかたまりを、記事の中にいくつも置いておく。これが、AI検索に拾われる記事の、いちばんの土台です。逆に、結論が文章全体に溶けていて、一段落だけ切り出すと意味が崩れる記事は、どれだけ中身が良くても引かれにくくなります。

問いを見出しにして、すぐ下で答える

では、抜き出せる一節は、どう作ればいいのでしょうか。いちばん効くのは、見出しを問いの形にして、その直後の段落で答えきることです。

「〇〇とは何か」「どうすれば〇〇できるか」と、疑問形の見出しを立てる。そして次の一段落で、その問いに対する答えを、それだけで完結するように返す。こうすると、AIは「問い」と「直後の答え」をセットで拾いやすくなります。読者がAIに投げる質問と、あなたの見出しの形が、自然とそろうからです。

逆に、答えが三段落あとにようやく出てくる構成や、見出しがかっこいいだけで中身を指していない構成は、抜き出しにくい。じつはこれ、人の読者にとっても同じです。問いがあって、すぐ下に答えがある記事は、ぱっと読んで分かる。人にもAIにも、同じ書き方が効くというのは、少し安心できる話だと思います。奇をてらう必要はありません。

具体的に、見出しを1つ書き換えてみましょう。たとえば「紹介カードの新しいかたち」という見出しは、雰囲気はありますが、何の答えなのかが分かりません。これを「紹介カードは、AIでどう作り直せるか」と問いの形に変える。そして直後の段落を「紹介カードの本質は信頼の受け渡しです。AIに紹介文を下書きさせ、LINEで送れるようにすると、紙のカードと同じ役割を、配る手間なしで再現できます」と、その一段落で答えきる。こうしておくと、誰かがAIに「紹介の仕組みをデジタルにするには」と尋ねたとき、この一節がそのまま答えの材料になります。見出しを問いに、直後を答えに。たったこれだけの並べ替えで、引かれやすさは変わります。

具体的な数字や出典を、答えに添える

もう1つ、AIが好んで引くのは、具体的な数字や、出典のある一節です。

「たくさんの人が使っています」より「3つの店舗で使われています」。「安く始められます」より「月100円から始められます」。ぼんやりした言い切りよりも、根拠のある具体のほうが、引用に耐えます。AIは、検証できる手がかりが付いた文を、安心して引けるからです。あなたの一節に数字や出典が1つ添えてあるだけで、拾われる確率は変わってきます。

ただし、ここには注意が要ります。引かれやすくしたいからといって、数字を盛ってはいけません。AIに引用されるということは、もし間違いがあれば、その間違いもそのまま広がっていく、ということでもあります。数字は正確に、出典は本物を。引用されたいという気持ちと、正直さは、両立させなければなりません。

機械に「誰が書いたか」を伝える

ここまでは、人の目にも見える工夫でした。もう1つ、目には見えない裏方の工夫があります。ページの中に、人には見えない「機械向けの自己紹介カード」を埋め込んでおく方法です。

この記事は誰が書いたのか、どんな組織が出しているのか、何を専門にしているのか。こうした情報を、機械が読み取れる決まった形で、ページに同梱しておきます。実験室のブログでは、これを外部の便利な拡張に頼らず、自前のコードとして埋め込みました。あとから改善できるよう、自分たちの管理下に置いておくためです。

とりわけ効くのが、その書き手や組織の「得意分野」を、機械にきちんと伝えておくことです。たとえば、この組織はマーケティングとAIに詳しい、と専門の範囲を機械向けに明記しておく。すると、その分野に関する質問が投げられたとき、関連する書き手として拾われやすくなります。誰が書いたか分からない記事より、何の専門家が書いたかが分かる記事のほうが、AIも安心して引用できます。人の世界で、出どころのはっきりした話のほうが信頼されるのと、同じことが起きているわけです。

やりがちな罠:しるしを盛りすぎない

最後に、よかれと思ってやってしまいがちな罠を、1つだけ。

機械向けのしるしは、何でもかんでも付ければ効く、というものではありません。たとえば、よくある質問を機械向けのしるしで飾る手は、いまのマーケティング系のサイトでは、ほとんど効かなくなっています(2026年6月時点)。効かないしるしを盛ると、見た目が雑然とするだけで、得るものはありません。

大事なのは、効くところに絞って、正しく置くことです。引用されたい一心であれもこれもと飾るより、問い見出しと直答、具体的な数字、書き手の専門。この効く所を丁寧に整えるほうが、ずっと近道になります。

明日からできる、3つ

今日は、AI検索に引用されるブログの構造を見てきました。最後に、特別なツールがなくても今日の記事から試せる形に、3つだけまとめます。

1つ、見出しを問いの形にして、すぐ下の段落で答えきる。2つ、その答えに、具体的な数字か出典を1つ添える。3つ、記事の終わりに、誰が、どんな専門で書いたのかを、はっきり示す。この3つは、どれも道具いらずで、書き方を少し変えるだけで始められます。

AIに引用されるブログは、奇をてらった記事ではありません。問いに正直に、具体的に、そして誰が書いたかを隠さずに答える記事です。それはきっと、人にとっても読みやすい記事のはず。もしあなたが、書いても拾われないと感じているなら、まずは次の記事の見出しを1つ、問いの形に変えてみてください。

次回は、その「誰が書いたか」をめぐって——AIが書いたと正直に明かしても信頼される、その方法を一緒に見ていきます。


この実験のプロジェクト概要は 温故知新マーケティング実験室 に。AIエージェント群の構成や設計思想を、もう少し詳しくまとめています。